『HUNTERxHUNTER』が構想通りに完結できたら凄いだろうなと思っているのに、遅筆乱筆によってその期待をゴイゴイ削いでくれる冨樫義博。 その彼が『幽遊白書』で金も集英社内での地位も十分なレベルに達しながら、初期衝動を残しているという貴重なタイミングで発表した奇跡の作品。って凄い決めつけだ。
ミステリー、ギャグ、青春群像、SF、ファンタジー、オマージュ、なんならアブノーマルと、これだけのものが考えられないほど高い次元で同居している。ここにないのは恋愛だけ。もしかしたらそれすらもあるのかもしれない。
現実の世界を舞台にゲームをするという『HUNTERxHUNTER』のベースもここにあって、しかも既に完成している。
ちょっとは短いとも思うけど、クオリティーを落とさずにこれ以上書くのは無理ではないか。それほどギリギリで隙がない。
無理なのにそれをやってしまった結果困ったことになっているのが『HUNTERxHUNTER』で、芸術家根性と商業性の天秤が、両方ともに乗せすぎたために壊れたのではなかろうか。いや、まだ終わったわけじゃないからわからないけれど。
1996年という時代まで考えると、陳腐な表現とは思いながらも天才としかいいようがない。漫画界の金字塔。
先はどうであれ、これを残せたんだから人生失敗ではないわなと、ひとごとだけど思う。
3巻全て単独でも読めるけれど、できれば全部揃えて頭から通読を。 マンガ喫茶でも2時間あれば十分だけど、3巻合わせて1500円もしないでこれだけのものが読めるのだから是非購入を。
マンガ好きであるなら必読。
(04/11/01)