Second Coming/Stone Roses


second coming 女の子は偉大である

言わずもがな、そろそろ伝説になったと言っても差し支えないだろう、Stone Rosesの2ndだ。
名盤とされる1st「Stone Roses」の影に隠れたアルバムだが、このアルバム無くして今の僕はなかったと言える貴重な一枚である。

Stone Rosesと言えばグルーヴ。今なら誰に聞いてもそう言うだろう。1stが世間を席捲していた時、僕は地元のレンタルレコード屋でこのアルバムを手にしていた。その時帯に書かれていたコピーは「UK No,1 ギターポップ」みたいな感じだったのだ。とにかく僕はこの1stをギターポップだと思って借りてきた。そしてそのおかげでこの1stはその後何年もさして聞かれる事もなく眠る事となった。ギターポップという割にはボーカルはヘタだし音像はぼやけててよく分からない。悪くは無いけど特に突出したモノは感じなかった。

当時、高校生くらいの男子が聞く音楽と言ったらロックと相場は決まっていた。僕は元々ポップス、AORやソウルなどを好んで聞く人間であったが、この頃は多分に漏れずロック男子であった(と自分では思っている)。そして当時、女の子達が1stに騒ぐのを見て、この程度のギターポップで騒ぐなんぞまだまだ甘いなと思っていた。

5年後にこの「Second Coming」が発表され、スクワイアのギターグルーヴに打ちのめされた僕は、その後しばらくしてから、こんなに2ndが良いのだから1stにその片鱗があるのではないかと思い1stを買ってきて聞き返した。そしてその時、甘いのは圧倒的に僕の方だった事に初めて気づいた。
ボーカルはヘタで音像がぼやけてという感想は変わらない。録音は状態は良くないし、アレンジや演奏の上手さも含め、アルバムとしての出来、完成度は2ndの方が全然上だと思う。しかし、所々に顔を出してくるグルーヴの予感、イアンのローテンションのボーカルと相乗効果を持って否応なしにアゲられるような感覚は、全くもって突出していたモノであり、言い過ぎればBeatlesやZeppelinにも通ずるバンドマジックがあった。そして特筆すべきはそれがギターポップなどと書かれてしまうような体裁の上で行われた事だ。
そしてスクワイアが70年代ロックへ傾倒してRosesを解散させたのと反比例するように、僕はロック男子からポップス少年(っていうか青年)へと回帰した。BECK、Ben Folds Five、チボマットなどがポップスの可能性をさらに広げた時代でもあったし、自分に何が出来るかの確認が必要な時期でもあった。

Stone Rosesが偉大なバンドと肩を並べる事無く解散を迎えたのは、2ndを出すのに5年待たなければならなかった契約に関する裁判沙汰が主な原因としてある。George Michaelが「Listen Without Prejudice」を出した後「older」まで5年かかったのもそうだ。90年代というのはそう言う意味で最悪の時代だった。21世紀になってもCCCDとか輸入権とか、メジャーのやる事は「アンチミュージック」な事ばかりで、嫌いなら音楽に携わる仕事やめりゃいいのにと本気で思う。金稼ぐ方法は他にいくらでもあるじゃないか。そんなワケで僕はメジャーへの興味を失っていった。ちなみにメジャー=音楽業界ではない事は一応付け加えておく。

「Second Coming」があと2、3年早く出ていたら多分僕の人生も変わっていた。などと文句を言ってみたが、1st当時からRosesの可能性をしっかりキャッチしていた女の子達には頭が下がる。
そんなワケで僕は女の子を尊敬するようになり大好きになった。っていうか基本的にそれしか考えなくなった。バカな女は嫌いだったけど受け入れられるようになった。ブスな女には興味が無かったけどその他に色々な可能性を見いだせるようになった。それは純粋に音楽家として必要な事であり、単にエロいとかそういう事ではない。そこら辺をもう少し皆さんには理解して頂きたい。って誰に言ってるんだこれは。

(佐藤:05/02/07)

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the stone roses listen without prejudice

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