ピロと対談 |
河合ピロシ × 窪塚洋介 (2) |
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育たないとダメ。やっぱ育ってるヤツはハンパじゃない。― 役者という職業についてお話ください |
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ピロ | こんな役者になりたい、という目標みたいなものはありますか? |
窪塚 | 目標ってのはあまりないですかね。やっぱオレはオレなんで。オレ以外にはなれないし。 でも色んな人から影響受けてるってのは感じますよ。役者以外の人達からも。 すげえ人達がいっぱいいるから。 |
ピロ | まあ、あなたの場合、あんまりダイレクトすぎて逆に分かり難いんですけどね。 特に印象に残ってるのは誰ですか? |
窪塚 | そうですねえ。やっぱクドカンとかはありますね。 クドカンとはIWGPが最初だったけど、オレの役が、チームのキングっていう役で。 ああいう要素って当時オレの中には全然なくて。話があった時にどうキャラ作ろうか悩みました。 でも、わかんねーとか言えないしさ。で、友達のZEEBRAに相談したわけ。 チーマーって言ったら誰かなあって。そしたらチーマーって言ったらダントツ東幹久だろって事で。 盗みましたよ。ワンダフルとかかなりチェックしてました。 |
ピロ | キングは東幹久だったんですか。なんか全然違うような気がしますけど。 |
窪塚 | いや、東さんは凄いんですよ。凄いチーマーだったっていう噂は聞いてたんですけどね。 彼の指示一つで何万もの人間が動くとか、トップになる為には手段を選ばなかったとか。 なんかね、ここだけの話、10人くらいは殺ってるらしいんです。 やっぱ渋谷のチーマーは桁が違いますね。 |
ピロ | いやいや。それはもはや凄いチーマーとかそういうレベルじゃないですね。 10人殺しておいてワンダフルってねえ。まあそれが逆にワンダフルだけど。 |
窪塚 | いやね、僕も最初は嘘だと思ったんですよ。そんな人が芸能人やってるなんてね。 そしたらZEEBRAがね、あいつだけはマジ凄えって。リスペクトだって。 それで参考にしようと本人に直接話を聞きに行ったんですけどね。いやあ凄かった。 10人殺ってるどころじゃなかったですよ。これはマジでここだけの話ですけどね、 ワンギャルって全員、彼が家で飼ってるんですよ。知らなかったでしょ? |
ピロ | 知るわけないでしょ。 |
窪塚 | あ、疑ってますね?マジなんですよ。 ZEEBRAも彼の家でワンギャルを鎖に繋ぐの手伝ったって言ってましたからね。 その繋いだ鎖の逆側を全部一つに束ねて、東さんが片手で持って叫ぶんですよ。 オマエラ全員、鵜飼いの鵜だー!って。踏み台昇降しながら。 それでZEEBRAが脈拍測ってね。やっぱヒップホップ育ちは違いますよ。 |
ピロ | 鎖に繋いでるんだ。それはちょっと興味あるなあ。 それで、やっぱキング役とは関係なさそうな話なんですけど。 |
窪塚 | いやいや、ちゃんとクドカンとも話しましてね。そういう部分はモロに書いても面白くないって。 キングになる過程の中で100人殺ってる設定なんですよ。 見てれば分かると思うけどなあ。あの切れ具合とかで。 それに実家がサウナ風呂っていう設定なんですけど、あれはただのサウナ風呂じゃなくて、 ワンギャル全員働かせてるんですよ。働くって、意味わかりますよね? |
ピロ | ああそう。クドカンも大変だっただろうね。 じゃああれなの、キングもやっぱヒップホップ育ちなの。 |
窪塚 | もち!バリバリのヒップホップ育ち。 |
ピロ | 随分嬉しそうだね。「ヒップホップ好き」とかじゃダメなの? |
窪塚 | ダメダメ。育たないとダメ。やっぱ育ってるヤツはハンパじゃない。 |
ピロ | ふうん。じゃあやっぱ窪塚君もヒップホップ育ちなの? |
窪塚 | ああ、そういうオレ自身の生い立ちについてはちょっと語れませんね。 色々と問題がありまして。 |
ピロ | そうなの。なんかそういう事語りそうなイメージあるんだけど。 |
窪塚 | ああ、だからあれでしょ。ライフカードのCM。 あれもさ、まあ役者業の一環ですよ。迫真の演技ですね。 でもさすがにあの演出はちょっとキツかったですけどね。 なんかオレの部屋来てわざと安いカメラ回してさ、庶民的なセリフばっか喋らされて。 こんな等身大のオレを積極的に肯定してます。って感じの。凄いベタだよね。しかし。 |
ピロ | ウソなんだ。あれ。イヤならイヤだって言えばよいのに。 |
窪塚 | いや、一度言ったんですけどね。 岩井監督って超恐いんですよ。 オレは勿論ヒップホップ育ち感を全面に出したかったんですけど、 「有名になりたかった」なんて言わされてるじゃないですか。あんなの全然スルドクない。 監督に、なんだこのセリフ!「有名になりたかったYO!」 だろ!って言ったんですけどね。 |
ピロ | うーん。まあ確かにそれはスルドイ セリフですけどね。ある意味。 |
窪塚 | そしたら監督がキレちゃって。もう手がつけられない。ヤクザだねあれは。 おまえ誰にタメ口きいてんだコノクソガキがああ!ってさ。ボコボコに殴られましたよ。 さんざん殴ったあげく、ボールペンをオレのこめかみに突きつけて、 監督はオレだ!文句あんなら帰れ!ってね。オレの家なのに。 |
ピロ | 演出もベタならボケまでベタですね。 |
窪塚 | まあでも、あのベタさ加減ってのがやっぱ上手いところなんでしょうね。 なんかオレ、あのCMのキャラで定着しつつありますもんね。 |
ピロ | しかしそんだけもめて、よく撮影できましたね。 こんな監督とはやってられん。とか思わなかったんですか? |
窪塚 | いや、まあそこら辺はアメとムチでね。 窪塚君、君はカメレオン俳優じゃないか。なんて言われたらね。 なんかちょっとその気になっちゃいまして。やらざるを得なかったですね。 で、結局はあのCM好評でしたしね。あの後結構仕事来たし。 |
ピロ | 岩井マジックですか。 |
窪塚 | そうそう。まあ結果オーライって事で。 |
― 最後に、今後の活動についてお聞かせください |
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ピロ | ああ、でもあのCMのキャラじゃなくて、最近は愛国者キャラで結構押してるじゃないですか。 アレはどうなんですか。マジですか?カメレオン? |
窪塚 | ああ、アレね。最初はマジだったんですけどね。ZEEBRAあたりと盛り上がってね。 オレらは日本人だろーが!アメリカ人じゃねーだろ!ってね。 六本木のウェンディーズで血の杯とか交わしてました。 |
ピロ | へえ。そんな事言ってたんですか。 |
窪塚 | そうそう、例えばキムタクが結構マジメな事言うと、若い子でも言う事聞いたりするじゃないですか。 だからさ、ファッションリーダーのオレ達がやれば結構みんなついてくるんじゃないかなとか思って。 |
ピロ | キムタクの言うマジメとは随分かけ離れてる気がしますけどね。 まあいいや。で、若い子はついてきたんですか。 |
窪塚 | いやね。ちょっと冷静になればね、すぐ分かるじゃないですか。 オマエラに言われとーない。ってさ。あんなダボダボの服着てね。 |
ピロ | 冷静じゃなくても気付いて欲しいですけどね。 でも気付いたっていう割りにはまだ続いてる感があるんですけど。 |
窪塚 | そうそう、それがさ、何ていうか、自分で言うのも何なんだけど、 オレってあんまファッションリーダーじゃなかったのね。最近気付いた。 |
ピロ | そうなんですか?僕は若い子のファッションとか疎いんでよくわかんないですけど。 |
窪塚 | うーん。なかったって言うか、なくなったって言うか。マスコミに色々バッシングされてさ、 やっぱなんか頭おかしいみたいに思われちゃって。 だってねえ。オレ、ヒップホップ好きだし。アメリカ好きに決まってんじゃんか。 ナショナリズムより異文化コミュニケーションですよ。やっぱ、ファックオフ国境ですよ。 でもね、今更前言撤回して、やっぱアメリカ好き!って言ったら格好悪いでしょう? |
ピロ | 僕は結構好きですけどね。そういう人。 |
窪塚 | でも世間的には格好悪いって思われる。そんな格好悪いオレがヒップホップ好きって言ったら、 ヒップホップ人口が減っちゃうんじゃないかなって。それくらいオレは影響力あるだろって。 それでね、ふと気がついたんですよ。右翼の街宣車ってあるじゃないですか。 アレ見て、右翼になりたいって思う人って居ると思います?愛国心そそられますか? |
ピロ | なるほど。確かにゲンナリしますね。あれは。 |
窪塚 | そうなんです。だからオレもゲンナリさせてやろうかと思いましてね。 まあ、反面教師って言うんですか? まだね、ビミョウな人たちとかが一部ついてきちゃったりしてるんですけど。 もはやついて来れなくなるまでね、ガンガン行きますよ。 |
ピロ | なるほどねえ。じゃあまあ結果オーライと。 |
窪塚 | そうそう、結果オーライ。 |
ピロ | 窪塚君ってやっぱ天才かもしれないですね。いろんな意味で。 |
窪塚 | はははは。まあカメレオン俳優だからね。オレは。 |
ピロ | 凄いなあ、そのポジティヴシンキング。もしくは自己愛。 |
窪塚 | そうそう。だからオレ、オナニーとかしないからね。全く。した事ない。 生き様がオナニーだからね。必要ないよ、オレには。 |
ピロ | なんかちょっと格好良いなあ。うーん?良いかなあ。 |
窪塚 | あ、ちょっとオレについてこようとしてますね?そうはさせませんよ。 |
ピロ | いやあ、ついてくのはムリですね。僕、オナニーしますし。 |
窪塚 | あ、オナニーしようとしてますね?そうはさせませんよ。 |
ピロ | いやいや、させてくれよ。っていうかするよ。絶対。 |
窪塚 | さあせえるうかあー!! |
ピロ | うおおおお!!あっ。。 |
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